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改良保全(CM)とは?製造業の現場を変える保全手法と導入のポイント

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改良保全(CM)とは?製造業の現場を変える保全手法と導入のポイント

製造業の現場では、設備トラブルや突発故障が生産を圧迫しています。人手不足やベテラン担当者の退職で保全業務が属人化する中、従来の保全手法・保全策だけでは不具合が減らず、過剰整備の傾向も見られます。

こうした課題を根本から解決する手法として注目されているのが、「CM(改良保全)」です。しかし、設備の抜本的改善により再発防止・作業効率化・コスト削減が期待できる一方、「何から始めれば良いのか」と悩む担当者も少なくありません。

本記事では、CMの基本から導入ステップ、他手法との違い、デジタルツールとの連携まで体系的に解説します。自社の保全体制を見直す第一歩としてお役立て下さい。

CM(改良保全)とは?

CM(改良保全)とは?その定義と基本概念

CM(改良保全)とは

CMは設備トラブルの根本原因を突き止め、アプローチする保全手法です。この章では、CMの意味や定義、他の保全手法との違いなどについて解説します。

CM(改良保全)の意味と定義

CMは、設備の故障や不具合が起きた際に根本原因を追究し、設計・構造・運用方法を見直すことで再発を防止する保全手法です。修理や部品交換にとどまらず、「トラブルの原因そのものを取り除く」ための積極的なアプローチといえます。

一時的な復旧を目的とするBM(事後保全)とは異なり、設備の機能性や保守性を設計段階から見直すCMは恒久的な保全手法といえるでしょう。

また、継続的な改善活動に近い性質を持つことから、TPM(Total Productive Maintenance:全員参加の生産保全活動)において、CMは中核的な位置づけとされています。

TPM(全員参加の保全活動)の中での改良保全の位置づけ

保全には複数の手法があり、それぞれ目的やタイミングが異なります。以下に、各保全手法についてまとめました。

保全手法の一覧
保全手法 特徴
CM(Corrective Maintenance:改良保全) 再発防止のために根本的な改善を実施する
BM(Breakdown Maintenance:事後保全) 故障後に修理する
PM(Preventive Maintenance:予防保全) 定期点検や交換、メンテナンスで故障を予防する
TBM(Time Based Maintenance:時間基準保全) スケジュールを立てて保全活動を実施する
CBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全) センサーなどにより状態監視を行う
PdM(Predictive Maintenance:予知保全) AIやIoTによる予測保全を行う

CMが「トラブルの発生後に本質的な対策を行う」のに対し、PMやTBM、CBM、PdMは「トラブルを未然に防ぐこと」を目的としています。

TPMにおけるCM(改良保全)の役割と位置づけ

TPMは8つの柱で構成されていますが、中でもCMは「設備故障ゼロ」を実現する中核的な取り組みとして位置づけられています。保全部門だけが担うのではなく、現場の担当者自らが改善提案を行い、トラブルの芽を早期に摘み取る文化を育む点がCMの特徴です。

CMは「小集団活動」や「5S活動」といった現場主導の取り組みと連動しやすく、日々の業務で気付いた課題をその場で解決するボトムアップ型のアプローチを促進します。また、ムダの排除や継続的改善を重視するトヨタ生産方式とも親和性が高く、製造現場全体の生産性向上に寄与します。

まとめ

CMは、設備の根本改善を通じて故障ゼロを目指す手法です。TPMの中核として位置づけられ、現場の担当者自らが改善提案を行うボトムアップ型のアプローチを促進します。

CMが必要な理由

CM(改良保全)が必要とされている理由

CM(改良保全)が必要とされている理由

製造現場では、属人化や設備の複雑化により、従来の保全手法だけでは対応が困難になっています。この章では、CMが必要とされる3つの理由について解説します。

製造現場の現状と課題を解決するため

製造現場の多くが、ベテラン担当者の技術や経験に頼った保全体制となっています。しかし、定年退職や人材流出により、蓄積されたノウハウの引き継ぎが思うように進んでいません。

具体的には「特定の担当者しか対処できない保全業務がある」「点検履歴が紙やExcelで管理されており、情報共有が難しい」「データを活用した分析体制が整っていない」といった状況です。

さらに、突発故障による悪循環も課題です。突発故障への対応に追われるあまり計画的な保全活動が後回しになった結果、ライン停止とそれに伴う生産ロス、納期トラブルを招くケースも少なくありません。

属人化や情報管理の非効率さを解消し、組織全体で保全品質を維持するために、CMによる根本的な改善が求められています。

従来の保全手法だけでは対応しきれない時代背景があるため

製造現場を取り巻く環境は大きく変化しており、従来のBMやPMだけでは限界が見えてきています。

その背景には、設備の高度化・複雑化があります。設備が多様化する中、画一的なスケジュール保全では個々の状態に応じた対応が困難です。定期的な点検や部品交換を行っていても、「想定外のタイミングで故障が発生する」「必要のない箇所まで交換してコストがかさむ」といった問題が後を絶ちません。

一方で、AIやIoTの普及により、設備の稼働状況をセンサーでリアルタイムで把握できる時代になりました。

技術革新を背景に、CMはコスト削減と信頼性向上を両立させる保全手法として注目されています

攻めの保全の役割が必要とされているため

従来の保全手法では、設備を「壊さない」「止めない」という守りの姿勢が中心でした。一方でCMは、トラブルや小さな不具合を改善の機会として捉えた、設備そのものの性能や信頼性を引き上げる攻めの取り組みです。課題を徹底的に分析し、再発を防ぐ仕組みを構築することで、製造ラインの競争力そのものを高めます

CMによる攻めの保全手法は、現場で実践される継続的改善活動(カイゼン)とも密接に結びついています。担当者自らが日々の気付きをもとに改善提案を行い、設備の使いやすさや保守性を向上させることで、工場全体のパフォーマンス向上に貢献します。

まとめ

属人化や設備の高度化に対応する中で、攻めを意識した保全手法が求められています。CMは、現在の製造現場の課題を根本から解決し、製造ラインの競争力を高める手法として期待されています。

CM導入メリット

CM(改良保全)の導入メリット

CM(改良保全)の導入メリット

CMを導入すると、製造現場にさまざまなメリットがもたらされます。故障リスクの低減から品質向上、コスト削減まで、その効果は多岐にわたります。以下では、CMがもたらす4つの主要な効果について解説します。

突発的な故障リスクの低減と安定稼働の実現につながる

CMを導入するメリットは「同じトラブルを繰り返さない」仕組みを構築できることです。応急的な修理は表面的な対処に過ぎません。同じ箇所で不具合が再発すると、結果的に何度も対応に追われてしまうでしょう。

一方で、CMの場合はトラブルの根本原因を徹底的に追究して対策を講じるため、設備の停止回数が減少し、ライン全体の稼働が安定します。計画外の停止を減らせれば生産スケジュールへの影響も最小限に抑えられ、生産性の向上に直結します。

生産性と品質の向上につながる

CMによる設備改善は、製品品質の安定化にも大きく寄与します。設備の状態が最適化される結果、品質のばらつきが抑えられ、不良品の発生頻度が低下します

仮に異常が生じた場合でも早期発見が可能となるため、大量の不良品を生み出すリスクを回避可能です。

また、製品精度の一貫性が保たれると顧客クレームの削減につながり、企業全体の信頼性向上にも貢献します。結果として、リピート受注や新規取引の獲得といった好循環が生まれます。

保全活動の効率化と属人化の解消につながる

CMでは、改善の過程で得られた知見や点検手順を記録し、共有することが重要です。保全活動の情報を共有できれば、特定の担当者に依存せず、誰もが同じ水準で業務を遂行できる環境が整うためです。

たとえば、点検管理ツールを活用すれば、改善履歴や点検記録をクラウド上で一元管理でき、現場のどこからでも必要な情報にアクセスできます。点検ルールの明文化や作業手順の標準化が進めば、経験の浅い若手や派遣スタッフでも、ベテランと同等の対応が可能になります。

コスト削減と経営改善への貢献につながる

CMを実践することで、保全活動にかかるコストを大幅に削減できます。従来の定期交換では、まだ使用可能な部品まで予防的に交換してしまうケースがありました。一方、CMでは設備の状態を見極めた上で必要な対策を講じるため、ムダな部品交換や過剰整備を排除できます

根本的な改善により設備の長寿命化が実現すれば、設備投資のサイクルを延長することも可能です。突発故障への対応工数が減れば、担当者は通常の業務に時間をより割けるようになり、組織全体の生産性が向上します。

加えて、生産ライン停止による売り上げ損失のリスクを事前に防ぐことで、経営の安定性にも貢献します。

まとめ

CMは、故障リスクの低減、品質向上、属人化解消、コスト削減という多面的な効果をもたらします。デジタルツールで改善履歴や点検記録を管理すれば、CM導入の効果を最大限に引き出せます。

CMの導入手順

CM(改良保全)の進め方と導入ステップ

CM(改良保全)の進め方と導入ステップ

CMの効果的な導入には、体系的なステップを踏むことが重要です。この章では、現場のデータ収集から改善対象の特定、改善の実施、標準化、全員参加の体制づくりまで、5つのステップに分けて解説します。

ステップ1|現場の点検・データ収集

CM導入の第一歩は、現場の実態を正確に把握することです。どの設備で、どのような不具合が、どれくらいの頻度で発生しているのかを明らかにするため、故障履歴や交換部品、ダウンタイムといった情報を整理しましょう。

手作業やExcelでの管理では非効率なため、MONiPLATのようなデータを一元管理できるデジタルツールの活用がおすすめです。

ステップ2|改善対象の特定と優先順位付け

情報整理の結果を基に、改善すべき対象を絞り込みます。全ての課題に同時に取り組むのは現実的ではないため、発生頻度と生産への影響度を掛け合わせて優先順位を設定しましょう。

たとえば、ベアリングの摩耗やバルブの詰まりなど、頻繁に発生しライン停止に直結するトラブルから着手することで、早期にCM導入の効果を実感できます

ステップ3|設計・構造・運用面での改良実施

特定した課題に対し、根本的な改善策を講じます。以下のように、設備の設計や構造そのものを見直すことが重要です。

  • 摩耗しやすい部品は耐久性の高い材質や形状に変更する
  • 異常を早期に検知するためセンサーを追加する
  • 点検しにくい箇所には点検口を設置する
  • 清掃が困難な部分を工具なしで分解できる構造にする

根本的な改善策により保守性が向上し、作業時間の短縮にもつながります。

ステップ4|標準化と継続的な改善サイクルの構築

改善後の運用方法を標準作業として文書化し、組織全体で共有しましょう。せっかく実施した改善も、ルール化されなければ再発リスクが残ります。改善内容を明文化し、改善・運用・評価・再改善というPDCAサイクルを回すことで、継続的に保全品質を高める仕組みが定着します。

ステップ5|関係者全員での運用と現場の巻き込み方

CMを成功させるには、現場の協力が不可欠です。日々設備に触れる担当者の気付きや改善提案を積極的に吸い上げる体制を整えると、継続的な改善文化が醸成されます。

たとえば、改善発表会や現場表彰制度などを通じてCMへの参加意識を高めると、全員参加型の保全活動が促進されます。

まとめ

CMを導入する際は、データに基づく課題特定から始まり、優先順位をつけて改善を進めます。現場の担当者を巻き込み、PDCAサイクルを回すことで、持続的な保全品質の向上が実現します。

他の保全手法との違い

他の保全手法との違いと連携方法

CM(改良保全)と他保全手法との違い

効果的な保全活動を実践するためには、各保全手法の特性を理解し適切に使い分ける必要があります。この章では、CMと各保全手法との違いや効果的な連携方法について解説します。

BM(事後保全)・PM(予防保全)との違いと使い分け

保全手法にはそれぞれ異なる役割があります。たとえば、BMは故障後の対応、PMは定期点検による予防、CMはトラブルの根本原因の改善を担います

各保全手法を段階的に使い分けることで、保全活動全体の最適化が見込めるでしょう。BMで応急対応し、PMで予防策を講じ、繰り返し発生する課題にはCMで根本改善を図るという流れが理想です。CMは、他の保全手法では解決できない問題に対処する最終手段といえます。

他の保全手法と組み合わせる

CMの効果を最大化するためには、単独ではなく他の保全手法との組み合わせが重要です。たとえば、TBMで定期交換の基準を見直したり、CBMやPdMで異常兆候を検知してCMの改善対象特定に活用したりすると、科学的根拠に基づいた保全が可能です。

特にIoTとAIを活用したセンサー技術を活用すれば、リアルタイムで設備状態を監視し、故障の予兆を捉えられます。検知された兆候をCMの改善活動へとつなげるフィードバックループを構築することで、予防と根本改善が連動した効率的な保全体制が実現します。

まとめ

CMを、BMやPMといった従来の保全手法と組み合わせると、より体系的な保全体制を構築できます。IoTとAIを活用したセンサー技術をCMに活用すると、予防と根本改善を連動させられます。

CMのまとめ

CM(改良保全)で製造現場の保全を進化させよう

CMは設備トラブルの根本原因を取り除き、同じ故障を繰り返さないための保全活動です。突発故障や個人の経験に頼った保全から脱却し、設備そのものの信頼性・保全性を高めることで、製造現場の安定稼働と競争力向上につなげます。

CM構築のポイント

  • 目的の明確化: 突発故障の再発防止と属人化の解消を目的とし、場当たり的な応急対応から脱却する
  • データ活用: 故障履歴や停止時間、発生頻度などの現場データを整理し、改善判断の根拠とする
  • 優先順位付け: 影響度と発生頻度の両面から改善対象を絞り、重要設備から着手する
  • 標準化と定着: 改善内容を文書化し、標準作業として現場に落とし込む

これらを意識してCMを進めることで、故障に強く、ムダの少ない設備保全が可能になります。すべてを一気に変えようとせず、スモールスタートで改善を積み重ね、PDCAを回し続けることがCM成功の鍵です。

山内 由佳(やまうち ゆか)

著者

山内 由佳(やまうち ゆか)

有機無機系の材料科学を専攻後、化学メーカーにて研究補助や製造に関わる業務を経験。その後、SEOライターとして、IT・技術記事をはじめとする幅広い分野の記事制作に携わる。複雑な内容を噛み砕いて整理することを得意とし、インテリア・料理・植物などのライフスタイル系コンテンツにも取り組んでいる。