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IoT工場とは?設備保全を効率化するスマートファクトリーも解説

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IoT工場とは?設備保全を効率化するスマートファクトリーも解説

製造現場の責任者や担当者の方には現場の属人化や、人の手や目に頼った点検業務に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では「IoT工場とは何か?」に始まり、スマートファクトリーとの違い、導入によって得られるメリット、導入までのステップを解説します。突発停止や人手不足を解決に導く、IoT工場導入への解決策を紹介していますので、参考にしてください。

概要

IoT工場とは?

IoT工場とは、工場内の設備や機器をインターネットに接続し、収集データを活用して生産性向上を目指す仕組みです。まずは、IoT工場の定義から、スマートファクトリーとの違いなどを解説します。

IoT工場の定義

IoT工場とは、工場の設備や生産ラインにIoT(Internet of Things)技術を導入した工場を指します。センサやカメラといったデバイスを各設備に取り付け、ネットワークで接続する仕組みにより、設備内の次のようなデータをリアルタイムで収集・蓄積が可能です。

  • 稼働状況
  • 温度
  • 振動
  • 生産数

IoT工場では、クラウドサーバーなどでデータを一元管理し、多角的な分析・活用が可能です。経験や勘に頼る領域を減らし、データによる事実を基盤とした持続的な改善活動が可能となります。

スマートファクトリーとの違い

IoT工場はスマートファクトリーを実現するための前段階です。

IoT工場・スマートファクトリーとの違い
項目 定義 目的
IoT工場 IoT技術を導入した工場 センサなどを用いて収集したデータをもとにした現場の可視化
スマートファクトリー データとAIなどの最新技術を活用し、よりスマートな稼働を実現した工場 人間だけでなくAIやロボットを用いた生産プロセスの最適化

上記の違いおよび関係性から、IoT工場の構築は、将来的にスマートファクトリーを目指す第一歩と位置づけられるでしょう。

IoT工場が注目される背景

現在、多くの製造業でIoT工場が注目されている主な要因は「人手不足」と「技術伝承」の問題です。少子高齢化で労働人口が減少する中、経験豊富な熟練技術者も次々と退職しており、彼らが培った高度な技術やノウハウの喪失が危ぶまれています。

また、エネルギー価格の高騰や原材料費の上昇など、経営を圧迫する要因も無視できません。さらに、顧客が求める品質レベルの高まりによって、ISO9001や自動車産業向けのIATF16949といった国際的な品質マネジメント規格への対応も不可欠です。

上記のような厳しい状況に対応するために、IoT工場の生産性工場と効率上昇、コスト削減効果が期待されています。

まとめ

IoT工場は、設備や機器をネットワーク化し、データ活用によって工場運営を効率化する仕組みです。スマートファクトリーが目指す工場全体の最適化の基盤となり、人手不足やコスト削減といった現代の製造業が抱える課題を解決する鍵として注目されています。

実現できること

IoT工場で実現できること

IoT工場を導入すると、データ活用を通じて設備保全の手法を効率化したり、監査対応の手間を削減したりする運用が可能です。この章では、IoT工場で実現できる項目について解説します。

設備保全の効率化

IoT技術を導入すれば、工場の設備が壊れてから直すのではなく、壊れる前に対処できます。既存の保全手法とIoTを用いた保全の特徴や課題を確認しておきましょう。

既存の保全手法との違い
手法 特徴 課題
TBM(定期保全) 時間や期間ベースで定期的に部品交換やメンテナンスを実施
  • 故障前に交換するため過剰保全になりやすい
  • 予期せぬ故障は防げない
CBM(状態基準保全 / IoT保全) センサ等で設備状態を常時監視し、劣化の兆候(故障予測)に応じて保全を実施
  • センサ等の導入コストがかかる
  • データの分析・活用ノウハウが必要

IoTを用いた保全の導入により、故障の予兆を正確に捉え、最適なタイミングでメンテナンスを実施できます。

点検や監査対応の簡略化

これまで多くの工場では、設備の点検記録を紙の帳票で管理しており、監査のたびに膨大な書類を探し出し、整理する必要がありました

IoTを活用すれば、センサが取得した点検データや、作業員がタブレットなどで入力した記録が、自動的にクラウド上のデータベースに集約されます。

また、各種データはタイムスタンプと共に記録され、改ざんが困難なため、記録の客観性と信頼性も向上します。監査員に対しても説得力のある説明が可能になり、監査対応をスムーズに進められるでしょう。

生産ラインや稼働の見える化

IoTは工場の「見える化」をリアルタイムかつ自動で実現可能です。収集されたデータは、工場のオフィスや管理者のPC、タブレットの画面にわかりやすく表示されるため、生産のボトルネックになっている設備などをひと目で判断できます

従来は、作業日報の集計や現場の聞き取りでしか把握できなかった情報が、データとして客観的に示されるため、勘や経験に頼らない具体的な改善策を立案可能です。

たとえば、特定の工程で待ち時間が長いと判明すれば、原因を深掘りして対策を打つなど、データに基づいた生産性の改善にも活用できます。

品質向上とトレーサビリティの確保

IoTは品質の安定や、問題が発生した際の原因究明を迅速化する「トレーサビリティ」の確保にも大きく貢献します。

IoTでは製造工程における温度や湿度のほか、作業担当者といった多岐にわたるデータを、製品ごとに紐づけて自動で記録可能です。製品の不具合が発見された場合でも、対象製品がどのような条件下で生産されたのかを特定できるため、リコールなどのリスクやコストを最小限に抑えられます

また、高度な品質保証体制が構築されている工場は、顧客やISO9001といった品質要求に応える上でも大きな強みとなるでしょう。

まとめ

IoT工場は、設備保全を故障予知のレベルに引き上げ、監査対応を効率化します。さらに、生産ラインの状況をリアルタイムで見える化し、データに基づいた改善も促進できます。品質管理においてもトレーサビリティを確保し、企業の信頼性を高めるなど、多岐にわたる業務改革を実現可能です。

メリット

IoT工場のメリット

IoT工場を導入すれば、単に業務を効率化するだけでなく、企業の経営基盤そのものを強化するメリットを得られます。この章では、IoT工場がもたらす主要なメリットを解説します。

生産性の向上とダウンタイム削減

工場において、生産ラインが一度停止すると、生産機会が失われるだけでは済みません。復旧作業にも多大な時間とコストがかかり、納期遅延につながる可能性があります。

IoTを導入すれば、センサが設備の振動や温度の異常を常時監視し、故障の予兆を検知して管理者に通知できます。本格的な故障が発生する前に計画的なメンテナンスを行う「予知保全」が可能となり、突発的なダウンタイムの防止が期待できるでしょう。

設備の安定稼働は、製品の安定供給を実現し、納期遵守率も改善されるため、顧客からの信頼獲得にもつながります

コスト削減と経営改善効果

IoTの導入は、工場のさまざまコスト削減にも貢献します。主にコスト削減効果が期待できる要素は次のとおりです。

  • 予知保全による設備のメンテナンス費用削減
  • エネルギー使用量の監視による電力消費の削減
  • 生産データに基づく在庫保管コストや機会損失の軽減

データに基づいた迅速かつ的確な経営判断が可能になるため、企業全体の収益性向上と持続的な成長を後押しします。

人手不足への対応

IoTの活用により、センサとシステムが自動で代替して設備の監視や点検作業を行います。現場作業員の負担を大幅に軽減可能な点もメリットのひとつです。

深夜や休日の巡回点検といった業務を自動化できるため、従業員のワークライフバランス改善にも寄与します。削減できた工数は、品質改善や生産性向上のための分析業務など、より付加価値の高い仕事に振り分けられます。

また、IoTによる自動監視や異常検知の仕組みは、経験の浅い作業員でも設備の異常に気付けるため、就業者の高齢化という課題解決にも貢献できるでしょう。

技術やノウハウの形式知化

IoTは長年の経験を持つベテラン作業員の勘やコツといった、マニュアル化が難しい「暗黙知」をデータとして記録し、誰でも活用できる「形式知」へと変換するツールでもあります。

センサを使えば、ベテランが「異常」と判断する機械の振動パターンや温度変化を数値データとして取得できます。取得したデータはAIが分析し「異常の兆候」をシステムに学習させる運用も可能です。IoTの働きにより、若手への効率的な技術伝承が実現し、組織全体の技術レベルの底上げにもつながります。

まとめ

IoT工場は予知保全によりダウンタイムを削減できるため、生産性の向上が可能です。また、メンテナンスやエネルギー、在庫にかかるコストを最適化し、経営改善も期待できます。点検の自動化は人手不足を補い、熟練の技をデータ化して技術伝承を促進するなど、企業が抱える多くの課題も解決に導く手段になるでしょう。

導入ステップ

IoT工場を導入するステップ

IoT工場の導入を成功させるには、計画的かつ段階的な進行が重要です。この章では、IoT工場を実現するためのステップを4つに分けて解説します。

導入目的と課題の明確化

IoT工場導入の最初のステップは「何を解決したいのか」という目的の明確化です。まずは下記の2項目から取り組みましょう。

  • 目的を設定(設備保全の工数削減や品質向上など)
  • 課題を洗い出し、優先度をつける

すべての課題を一度に解決しようとせず、優先度の高い課題から着手する意識が成功の鍵です。そして「設備保全の工数を30%削減する」のように、できるだけ定量的で具体的な目標を設定します。

目的と目標が明確であるほど、導入するセンサ選定やシステム構築の方向性が定まり、迷わず導入計画を進められます。

小規模導入からの実証実験

導入目的が明確になったら、限定的な範囲で「スモールスタート」に着手しましょう。PoC(概念実証)とも呼ばれる、小規模な実証実験を通じて、実際の導入効果や課題を検証するプロセスが大切です。

たとえば、課題として特定した一部の重要設備や生産ラインにだけセンサを設置し、データの収集と可視化を試みるといった進め方がおすすめです。

実証実験を通じて、想定通りのデータが取れるか、異常の兆候がわかるか、といった点を評価しましょう。得られた知見を基に改善を繰り返すことで、本当に導入が必要な要素を絞り込めます。

全社展開と標準化

小規模な実証実験で効果が確認され、導入のノウハウが蓄積されたら、次のステップとして成功モデルを他の設備や工場へ横展開していきます。

部門ごとや工場ごとに異なるセンサやシステムを導入してしまうと、データが連携できず、全社的な視点での分析や比較ができません。使用する機器やデータのフォーマット、運用ルールなどを統一する標準化を図りましょう。

また、全社展開をスムーズに進めるためには、従業員への教育も重要です。IoTの導入背景や、活用方法についての研修を行い、全社的なITリテラシーの向上を図りましょう。

保全管理や品質管理への統合

IoT活用の目標には、収集したデータを保全管理や品質管理の仕組みに統合する点も含まれます。

具体的には、センサから得られるCBM(状態基準保全)のデータと、従来のTBM(定期保全)の計画をクラウドシステム上で一元管理することが挙げられます。

また品質管理においても、製造工程のIoTデータを活用してISOなどの品質規格で求められる記録を自動生成したり、統計的な品質管理の自動化が可能です。経営層は現場の実態に基づいた迅速かつ正確な意思決定を下せるようになり、工場全体の競争力強化も見込めるでしょう。

まとめ

IoT工場の導入は、解決すべき課題と目的の明確化から始まります。次に、PoCで小規模に効果を検証し、その成功モデルを標準化しながら全社へと展開し、最終的には、収集したデータを保全や品質管理といった基幹業務の統合を目指します。工場全体の意思決定を支えるデータ基盤を構築することが成功への道筋です。

活用例

IoT工場の活用例

IoT工場が実際にどのような現場で、どのように活用されているのか、その把握は自社での導入を検討する上で非常に参考になります。この章では、具体的な課題解決につながるIoTの活用例を紹介します。

CO₂排出量や電力使用量監視

建設現場や製造工場では、脱炭素化やESG経営への対応が重要な経営課題となっていますが、IoTの導入によって、エネルギー使用状況の「見える化」が実現可能です。

たとえば、工場の分電盤や主要な設備に電力センサを設置し、電力使用量を常時監視します。収集データはクラウド上に集約され、PCやタブレットからいつでも確認可能なため、工場全体の消費電力はもちろん、ラインごと、設備ごとの詳細なデータがリアルタイムで可視化されます。

従来、人の手で行っていた検針や記録作業の負担をなくし、脱炭素経営の推進に貢献する、効果的な活用例といえるでしょう。

成型機冷却水配管の漏水検知

プラスチック製品などを製造する成型機では、金型を冷却するために多くの冷却水配管が使用されています。

IoTの漏水検知システムでは、配管の継ぎ目やバルブ周りなど、漏れが発生しやすい箇所に漏水センサを設置し、水分の漏れを検知後、即座に管理者のスマートフォンやPCにアラート通知が送られます。

初期段階の微細な漏れも見逃すことなく捉えられるため、大きなトラブルに発展する前に迅速な対応が可能です。人が24時間監視し続ける必要がなくなり、巡回点検の工数を大幅に削減できる点も大きなメリットです。

複数拠点の温度管理自動化

食品工場や物流倉庫、データセンターなど、厳格な温度管理が求められる施設を複数拠点に展開している企業にとって、各拠点の環境を均一に保つ体制は非常に重要です。

IoTを活用した遠隔監視システムでは、各拠点に温度センサを設置し、計測データをインターネット経由でクラウドに集約できます。本社の管理者は、ひとつの画面で全拠点の温度状況をリアルタイムで一元管理が可能です。

もし、いずれかの拠点で問題が発生した場合でもシステムが自動で検知し、アラートを発します。また、アラート確認による点検記録も自動で保存されるため、監査や報告書の作成にも役立ちます。

まとめ

IoTの活用例は多岐にわたります。CO₂排出量の監視による脱炭素経営の推進、漏水検知による予期せぬライン停止の防止、複数拠点の温度管理自動化による品質維持と省人化など、さまざまな現場の課題がデータ活用によって解決されます。

IoT工場のまとめ

設備保全の効率化に向けてIoTを活用しよう

工場におけるIoTの活用は、単なるITツール導入にとどまらず、設備保全や品質管理、そして経営全体の改善にも波及する重要な施策です。人手不足やコスト圧力に直面する製造業にとって、IoT工場は現場課題を解決しうる現実的な選択肢といえます。

IoT工場のポイント

  • 点検業務の見える化:紙帳票を廃止し、クラウドで点検データを一元管理
  • 異常の早期発見:センサとリアルタイム監視で予兆検知が可能に
  • 作業負担の軽減:巡回点検の自動化により人手と時間を大幅削減
  • 品質と安全性の向上:点検漏れの防止と設備状態の常時把握を実現

IoT工場の第一歩は、日常業務に最も密着した「点検の見える化」です。MONiPLATのように、小さく始めて段階的にステップアップできる仕組みを活用すれば、自社に最適なIoT導入を無理なく進められるでしょう。

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藤田 ユウキ(ふじた ゆうき)

著者

藤田 ユウキ(ふじた ゆうき)

BtoB・製造業ジャンルを中心に活動する専業Webライター。 光センサやEMS(電子機器受託製造)など、高度な専門知識が求められる技術分野での執筆実績が豊富。徹底したリサーチとSEOの知見に基づき、難解になりがちな製品や技術を、導入検討層に向けてわかりやすい解説が強み。単なる用語解説にとどまらず、企業の課題解決と意思決定を後押しする情報発信を心がけている。