社用車の車両管理台帳・日常点検表作成のポイント【無料Excelテンプレート付】

仕事で社用車を使用している方や、車両管理を担当している管理者、総務部門の皆さん、さらには車両を保有している経営者の皆さんから、よく「どのようにすれば安全かつ効率的に車両点検を行えるのか」という質問をいただきます。

車両点検は、これらの課題を解決するための重要な手段です。本記事では、車両管理台帳や日常点検表を活用し、安全かつ効果的に車両点検を行うためのポイントを解説します。さらに、無料でダウンロードできるExcelフォーマットもご用意していますので、ぜひご活用ください。

車両管理台帳Excelテンプレート

車両日常点検表Excelテンプレート

法令

車両点検は企業の義務

企業が所有する車両の点検は、法律で義務付けられています。道路運送車両法第47条には、「自動車の使用者は、自動車の点検をし、必要に応じて整備を行い、保安基準に適合するように維持しなければならない」と規定されています。この義務は、個人だけでなく、企業にも適用されます。

特に、企業のコンプライアンス（法令順守）意識が高まっている現在、車両の安全な運用に対する責任はますます重要視されています。バスやトラック、タクシーなどの商用車両は、車検に加えて3ヶ月および12ヶ月ごとの法定点検が義務付けられていますが、その他の社用車両についても、企業（または従業員）自身による定期的な車両点検が不可欠です。

まとめ

企業が所有する車両の点検は法律で義務付けられており、道路運送車両法によって定期的な点検と整備が求められます。近年、コンプライアンス意識が高まる中で、社用車の安全な運用に対する責任が企業にとってますます重要となっています。バスやトラックなどの商用車だけでなく、その他の社用車も、定期的に点検を行うことが不可欠です。

車両点検が必要な業種

車両点検が必要な業種は？

車両を使用するすべての企業は、業種を問わず、車両点検を行う義務があります。バス、トラック、タクシーといった商用車両はもちろん、営業車や役員の移動手段として利用される社用車、工事用車両なども対象です。また、企業が所有する車両に限らず、レンタルやリースで使用している車両にも同様の点検義務があります。

点検の内容や項目は、車両の使用頻度や使用環境に応じて決定することが重要です。たとえば、過酷な条件下で使用される車両は、点検項目や頻度を強化する必要があります。これにより、安全性を確保し、運用リスクを最小限に抑えることが可能です。

まとめ

車両点検は、業種を問わず車両を使用するすべての企業に義務付けられています。自社所有の車両だけでなく、レンタルやリースで使用する車両も対象です。使用頻度や環境に応じて点検内容を調整することで、安全性の確保とリスクの低減が可能です。

目的

車両点検の目的

車両点検を行う主な目的は、事故を未然に防ぎ、安全性を確保することです。適切な整備を怠ると、車両の不具合が見過ごされ、事故のリスクが高まります。その結果、車両や乗員の安全だけでなく、企業の社会的信用も大きく損なわれる可能性があります。

さらに、整備不良の車両を使用すると、燃費が悪化し、急な故障で高額な修理費が発生することもあります。定期的な車両点検は、企業のリスク管理だけでなく、コスト削減にもつながります。

リスクの回避

車両は使用頻度や走行距離に応じてガソリンやオイルの消耗、タイヤや部品の摩耗が避けられません。これらを適切に管理するためには、定期的な点検が不可欠です。

また、車両だけでなく、運転者の安全意識向上も重要です。たとえば、国土交通省はトラック運転手の飲酒運転に対する罰則を強化する予定です。運転前後の点呼や定期的な研修など、従業員の安全意識を高める取り組みを行いましょう。

費用の管理

車両を保有する企業には、保険料、車検費用、整備費、燃料費など、さまざまなコストがかかります。

しかし、車両の使用状況を正確に把握することで、これらの費用を見直し、削減することが可能です。たとえば、使用頻度の低い車両を売却したり、従業員に経済的な運転方法を徹底させることで、ガソリン代を抑えることができます。

まとめ

車両点検の目的は、事故を未然に防ぎ、安全性を確保することです。整備不足による事故リスクは、企業の信頼にも影響を与えるため、定期的な点検が重要です。また、整備不良は燃費悪化や修理費の増加につながるため、点検を行うことでコスト管理にも寄与します。さらに、車両の使用状況を把握して費用を見直すことが、経済的な運用にも効果的です。

車両管理台帳と日常点検表

車両点検に必須な車両管理台帳・日常点検表

車両点検を効果的に行うためには、点検結果を正確に記録することが重要です。その際に役立つのが「車両管理台帳」と「日常点検表」です。これらを使用することで、企業は保有する車両の情報、使用状況、保険の加入状況などを一元的に把握し、業務を円滑に進めることができます。

法律で作成が義務付けられているわけではありませんが、車両管理台帳や日常点検表を活用することで、点検の効率化と管理の質向上を図ることが可能です。特に、複数の車両を管理する企業にとって、これらのツールはリスク管理やコスト削減のための強力なサポートとなります。

まとめ

効果的な車両点検には、車両管理台帳と日常点検表による正確な記録が重要です。これらのツールにより、企業は保有車両の情報を一元管理し、点検の効率化と管理の質向上が図れます。特に、複数台の車両を管理する企業にとって、リスク管理やコスト削減の面で強力なサポートとなります。

点検表に必要な項目

車両管理台帳・日常点検表に記入する項目

車両管理台帳や日常点検表には、以下のような項目を記入することで、効果的な車両管理が可能になります。これらの項目は「日常点検項目」と「定期点検項目（車両の基本情報）」の2つに分けて考えると、より整理しやすくなります。

日常点検項目

日常点検項目は、車両の運行前後に確認するべきチェックポイントです。運転者が乗車前後に点検を行い、必要に応じて管理者の確認を受けるようにします。

運転業務記録：車両管理ID（ナンバープレートの番号など）、運転者の氏名、運行ルート、運転時間など
運転者の健康状態：アルコールチェックやその他の健康確認事項など
車両状態の詳細：エンジンオイルの量と汚れ、タイヤの空気圧、亀裂や摩耗の有無、ブレーキの状態、エンジンのかかり具合や異音の有無など
経費：ガソリン使用量、高速料金（ETC利用）など

定期点検項目

定期点検項目は、車両の購入やリース情報、車検や保険に関する情報など、一定の期間で確認すべき内容を記録します。これらの情報は、車両の効率的な運用や修理、メンテナンス、保険更新の際に役立ちます。

車体に関する情報：ナンバープレート番号、車名、型式、車台番号、購入日時、登録年月、購入先、購入費用、リース金額、リース契約の解約日時など
車検・整備に関する情報：車検有効期限、定期点検記録、整備工場名、整備履歴（修理箇所・原因）、事故・故障発生日時、事故・故障概要など
保険に関する情報：自賠責保険や任意保険の契約日、満了日、保険会社、証券番号、保険内容など

まとめ

効果的な車両管理には、車両管理台帳や日常点検表に必要な項目を記入することが重要です。これらは日常点検項目と定期点検項目に分けられ、日常点検には運転業務記録や車両状態、経費などが含まれます。一方、定期点検では車体や保険、整備に関する情報が管理され、効率的な運用やメンテナンスに役立ちます。

点検表の作成方法

車両管理台帳・日常点検表の作成方法

車両管理台帳や日常点検表の作成には、主に以下の3つの方法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、業務内容や規模、従業員数に応じて最適な方法を選択することが重要です。

紙面によるもの

独自に点検項目表を作成し、紙に印刷してバインダーなどに保管し、手書きで記入する方法です。この方法は特別なスキルが不要で、すぐに始められるメリットがあります。

しかし、時間が経つにつれて用紙が増え、紛失や管理の煩雑化といったデメリットも考慮する必要があります。

Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフト

ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを使用する方法です。これらのツールは、セルの計算機能や色分け機能を活用することで、データの視覚化や管理を簡単に行うことができます。

さらに、クラウドでデータを保存すれば、容量を気にせずに利用でき、リアルタイムでのデータ共有も可能です。今回は、無料でダウンロードできるExcelの車両管理台帳・日常点検表テンプレートを提供していますので、ぜひご利用ください。

車両管理台帳Excelテンプレート

車両管理台帳Excelテンプレート無料ダウンロード

このExcelのシート説明
- シート車両管理簿_印刷用
  
  シートC2セルに作成したシート名を入力してください。テンプレートで入力した内容が反映されるので、書式に合わせて印刷して保存することもできます。シートC2セルに別シート名を入力すれば、別の車両管理表もすぐに表示されます。
- シート車両管理簿_一覧
  
  シートA列に作成したシート名を入力してください。車両点検費用の総額を一覧表示で確認することができ、次回の車検予定日も確認することができます。
- シート車両管理表の空テンプレート
  
  新たに車両を追加する場合は、本テンプレートを複製してください。複製時のシート名は自由です。（※記入例は「0001」としています）。記入例を参考に車両ごとの基本情報や車検、自動車保険、修理記録、定期点検などを入力してください。
- シート車両管理表の記入例 0001
  
  車両管理表の記入例です。車両管理表は1車両1シートです。

車両日常点検表Excelテンプレート

車両日常点検表Excelテンプレート無料ダウンロード

このExcelのシート説明
- シート日常点検表_印刷用
  
  書式に合わせて印刷することで、紙の車両点検表としてご使用いただけます。
- シート運転月報
  
  シートA3セルに集計月の1日を入力してください。入力した月の日常点検、運転日報記録を一覧で確認することができます。
- シート日常点検・運転日報テンプレート
  
  新しい日付の点検表を追加する場合は、本テンプレートを複製してください。複製時のシート名は半角数字で年月日の境目はハイフンでお願いします。（※例：2024-04-01）
- シートテンプレートの記入例 2024-04-01
  
  日報テンプレートの記入例です。日報テンプレートは1ユーザー1Bookです。記入例を参考に日常点検、アルコールチェック、運転・作業記録などを入力してください。

管理システム・アプリ

専用の管理システムやアプリを使用することで、クラウド上で情報を一元管理し、すべての従業員が同じフォーマットを使って記入できるようになります。システムはスマートフォンでも利用可能で、点検のリマインド通知やデータのリアルタイム共有も可能です。

また、一部のシステムは特定の規模まで無料で使用できるものもあります。必要に応じて、自社のニーズに合った管理システムを検討しましょう。

まとめ

車両管理台帳や日常点検表の作成方法には、紙の記録、表計算ソフトの活用、専用システムの利用という3つの方法があります。紙面は手軽ですが管理が煩雑になる可能性があり、表計算ソフトはデータ管理が容易です。専用システムはクラウド管理が可能で、全従業員での共有やリマインド機能が便利です。自社の規模やニーズに応じて最適な方法を選ぶことが大切です。

点検表作成のポイントと注意点

車両管理台帳・日常点検表作成のポイントと注意点

車両管理台帳を作成する際には、以下のポイントと注意点を押さえておくことが重要です。

まず、最初から複雑にしないことです。初めて記入する方でも簡単に理解できるように、わかりやすく使いやすい形式で始めましょう。利用を進める中で「この項目を追加したほうが良い」「ここを変更したほうが良い」といったフィードバックが得られることがあります。その都度改善を加えながら、企業に最適な台帳へと進化させていくのが理想的です。

また、車検や法定点検などの新しいデータは、タイムリーに更新することが重要です。これにより、次の点検時期を正確に把握し、関連する情報の見落としを防ぐことができます。こうした更新の容易さや情報の一元化を考慮すると、紙面よりもデジタル管理（Excelやスプレッドシート、管理システム）の方が適しています。

最初は紙の形式から始め、徐々にExcelやスプレッドシート、管理システムやアプリへと移行していく方法も検討すると良いでしょう。これにより、管理の効率を向上させながら、長期的なコスト削減にもつながります。

まとめ

車両管理台帳や日常点検表を作成する際は、わかりやすく簡潔な形式で始め、利用しながら改善することが大切です。新しいデータは迅速に更新し、情報の一元管理にはデジタルツールが適しています。紙の記録からデジタル管理へ段階的に移行することで、効率とコスト削減効果が期待できます。

まとめ

社用車の点検表と管理台帳の作成で安全と効率を向上させよう

企業における社用車の安全管理は、法律に基づく義務であり、効率的な運用にも欠かせません。車両管理台帳や日常点検表を活用することで、車両情報の一元管理やリスクの低減が可能となり、結果的にコスト削減や運用の効率化にもつながります。本記事では、法的な点検義務、管理台帳の必要項目、台帳作成の方法や注意点について解説しました。これにより、企業はより安心・安全な車両運用が実現できます。