
足場点検表の作り方&正しい点検手順を解説【無料Excelテンプレート付】
建設現場で足場を安全に保つためには、定期的な点検が欠かせません。しかし、「どのような項目を点検すべきか分からない」や「毎回チェックしているけど、記録が曖昧になってしまう」など悩んでいませんか?足場は日々の作業で劣化し、わずかな緩みや破損が事故につながることもあるため、確実な点検と記録の管理が重要です。
本記事では、足場点検の重要性や具体的な点検項目、適切な点検表の作成方法を詳しく解説します。また、抜け漏れを防ぐために無料のExcel点検表テンプレートをご用意しました。正しい点検手順を学び、安全な作業環境を維持するために、ぜひ本記事を参考にしてください。

足場の種類とは?適切な点検表の選び方
足場とは、高所での作業を安全に行うために設置される仮設の作業床と支柱のことです。種類によって設置方法や用途が異なるため、それぞれに適した点検が必要です。適切な点検を行うことで、安全性を確保し、事故や労働災害を防ぐことができます。
代表的な足場の種類は次のとおりです。本記事では、さまざまな足場に対応した無料のExcel点検表を提供していますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
- 枠組足場:建築現場でもっとも一般的な、鉄製の枠を組んで設置する足場
- 単管足場:コストが安く、鉄パイプを連結して組み立て、狭い場所に適した足場
- くさび緊結式足場(ビケ足場):耐久性が高く、くさびを使って組み立て、高所作業に適した足場
- 張り出し足場:足場を組めない場所に適した、壁から張り出して設置する足場
- つり足場:橋梁工事や高層ビル工事で使われる、上部から吊るして設置する足場
- 棚足場:劇場や体育館の補修作業向けの、広い空間を確保しやすい足場
- 移動式足場:塗装や配管作業に便利な、キャスター付きで移動ができる足場
- 作業構台:機械や資材の運搬用に設置される大型工事向け足場
まとめ
足場にはさまざまな種類があり、設置方法や用途に応じた点検が必要です。適切な点検を行うことで、安全性を確保し、労働災害のリスクを低減できます。本記事では、各足場に対応したExcel点検表を提供しているので、ぜひ活用してください。
足場の点検とは?安全管理の重要性

足場の点検とは、作業員の墜落・転落事故を防ぎ、安全な作業環境を維持するために行う点検作業です。建設業の労働災害の中でも特に足場の不備による事故が多く、法律でも定期的な点検が義務付けられています。
この章では、足場点検の義務と目的、適切な点検頻度、点検を担当する責任者 について詳しく解説します。
出典:[ 厚生労働省 / 令和5年の労働災害発生状況を公表 ]
足場の点検は義務?目的と重要性について
足場の点検は、労働安全衛生規則第567条によって義務付けられており、違反すると罰則が科せられる可能性があります。作業員や周囲の人々の安全を確保するため、建設現場では厳格な安全基準が適用されています。足場の点検を怠ると、足場の崩壊や転落事故が発生するリスクが高まるため、法律で義務化されています。
労働安全衛生規則第567条:事業者は、足場(つり足場を除く。)における作業を行うときは、点検者を指名して、その日の作業を開始する前に、作業を行う箇所に設けた足場用墜落防止設備の取り外し及び脱落の有無について点検させ、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。
足場の点検は、単なる作業手順ではなく法律で義務付けられた安全管理の一環です。違反すると、工事の遅延や企業の信用低下、労働基準監督官による立ち入り検査で指摘を受けると、作業停止命令が下されることもあるので確実に実施しましょう。
詳細な法令は厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
出典:[ e-Gov法令検索 / 労働安全衛生規則第567条 ]
足場の点検頻度は?適切なタイミングを解説
足場の点検は、特定のタイミングで確実に実施することが義務付けられています。足場は設置後も天候や使用状況の影響を受けやすいため、定期的なチェックが不可欠です。
異常を早期発見し、事故を未然に防ぐことが目的であり、特に次の5つの状況では、点検が必須です。以下のタイミングで適切に点検を実施することで、安全性を確保し、労働災害のリスクを最小限に抑えられます。
- 始業前(使用開始前):毎日の作業開始前に点検を行い、支柱のぐらつきや足場板の破損がないか確認する
- 組立後・変更後:足場の組立や変更を行った直後に安全性を再確認。わずかな変更でも強度に影響を及ぼすため、必ず実施する
- 解体後:足場解体後の現場を点検し、地盤の異常や工具の落下物がないかを確認。次の作業員や通行者の安全を確保する
- 悪天候後(大雨・大雪・強風・地震など):悪天候により足場が不安定になる可能性があるため、再点検を行う。特に、強風後は支柱の固定状態を重点的に確認する
足場点検の実施担当者は誰?役割と責任を解説
足場の点検は、事業者だけでなく、注文者(建設会社)や専門技術者も関与する必要があります。適切な資格を持つ担当者が点検を行うことで、安全性が確保されます。2015年の法改正により、元請事業者(足場の提供者)や注文者も点検の責任を負うことになりました。さらに、専門知識を持つ作業主任者や資格取得者の関与が求められます。
主な点検担当者とそれぞれの役割は以下の通りです。足場の点検は、単なる現場作業員だけでなく、事業者や専門資格者が責任を持つべき重要業務です。適切な担当者を決め、確実に点検を実施しましょう。
- 注文者・元請事業者:足場の設置基準を遵守し、適切な点検を計画・実施する義務を負う
- 足場組立業者・使用業者:足場の状態を確認し、異常があれば即座に対応する
- 足場の組立て等作業主任者(能力向上教育を受けた者):現場での実際の点検をリードし、安全対策を実施する
- 施工管理者等のための足場点検実務研修修了者(建災防認定):専門的な点検スキルを持ち、より詳細なチェックを行う
まとめ
足場の点検は、作業員の安全確保のために法律で義務付けられた重要な作業です。適切な頻度で点検を実施し、担当者が責任を持って管理することで、墜落・転落事故を防ぐことができます。安全な現場環境を維持するために、法令を遵守し、確実な点検を行いましょう。
足場の点検方法と点検項目
足場の点検は、異常を早期に発見し、事故を防ぐために不可欠な作業です。基本的には目視での確認を行い、不具合が見つかった場合は補修・交換 を実施します。
また、点検記録を残すことも重要です。適切な管理を行うことで、過去の点検履歴を追跡し、安全な作業環境を維持できます。
足場の具体的な点検手順と点検内容
足場の点検は、元請業者・組立解体業者・作業者が適切なタイミングで行う必要があります。特に強度や安定性、墜落防止措置の確認が重要です。
特に、足場は風や振動、作業の影響で日々変化するため、組立後・作業前・解体後などの各タイミングで点検する必要があります。異常を放置すると重大事故につながる可能性があるため、重点的にチェックすべき項目を理解しておきましょう。
具体的には、以下の項目を重点的に点検しましょう。
まずは、床材の状態を確認しましょう。
- ひび割れ・腐食・変形がないか
- 表面が滑りやすくなっていないか(雨・雪後は特に注意)
次に、支柱や接続部の固定状態を確認します。
- 支柱が垂直に立っているか(水平器を使用)
- 緊結部・接続部・取り付け部のゆるみがないか
- 緊結材や金具にサビや損傷がないか
続いて、墜落・落下防止設備を確認します。
- 手すりや中さんが正しく取り付けられているか
- 取り外しや脱落の危険がないか
- 防網やメッシュシートの設置が適切か
最後に、脚部・補強材の取り付けを確認します。
- 脚部が沈下していないか
- 滑動する危険がないか
- 補強材が正しく取り付けられているか
その他点検項目としては、以下が挙げられます。
- 方杖やプラケット、ジャッキ、アンダーベースなどの損傷確認
- 足場全体の安定性チェック
本記事で提供する「足場点検表Excelテンプレート」には、これらの点検項目が含まれています。ぜひダウンロードして、現場での点検に活用してください。

足場点検表の作成方法とポイントおよび注意点

足場の点検結果を記録することは、安全管理の基本です。点検表の作成方法には紙だけでなく、Excel・スプレッドシートなどの表検索ソフト、スマホやタブレットで点検管理ができる設備保全管理システム・アプリなどの方法があります。
また、点検データを適切に管理することで、次のようなメリットがあります。
- 点検漏れやミスを防げる
- 過去の点検記録をいつでも参照できる
- 関係者と情報をスムーズに共有できる
しかし、方法によって利便性や管理のしやすさが異なります。自社に最適な方法を選びましょう。
紙の点検表は手軽だが管理が大変
紙の点検表は、もっとも手軽に始められる方法です。印刷してバインダーに挟めば、誰でもすぐに記入できます。しかし、記録が増えると管理が煩雑になり、点検データの紛失リスクも高まります。
また、項目の変更やカスタマイズが難しく、手作業で記入・集計するため、情報の蓄積や活用には限界があります。紙の点検表は短期的には便利ですが、長期的な運用には向いていません。
表計算ソフトの点検表はカスタマイズしやすいが手間が増える
Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトを使えば、点検項目の追加や編集が自由にでき、データの整理や集計も可能です。クラウドストレージを活用すれば、共有やバックアップも容易になります。
しかし、Excelは入力ミスが発生しやすく、現場での活用が難しいというデメリットがあります。特に、点検のたびにファイルを開いて手入力するのは手間がかかり、承認フローも煩雑になりがちです。表計算ソフトの点検表は紙よりも便利ですが、管理の負担を軽減するには、より効率的な方法を検討する必要があります。
設備保全管理システムはスマホで完結でき、点検データ管理も簡単
紙や表計算ソフトによる点検記録の管理が大変な場合、点検管理システムを活用するのがもっとも効率的 です。スマホやタブレットから簡単に記録でき、データはクラウドに保存されるため、点検結果をリアルタイムで共有できます。
さらに、点検のタイミングが近づくと通知が届くため、作業漏れも防止できます。管理者側の承認作業もオンラインで完結し、表計算ソフトのようにファイルを回覧する手間も不要です。
まとめ
足場の点検は、異常を早期に発見し、事故を防ぐために不可欠です。床材や支柱の状態、墜落防止設備などを確実に点検し、異常があればすぐに補修・交換しましょう。また、点検結果を記録することで、より安全な作業環境の維持につながります。
足場の点検を徹底し、安全な現場運営を実現しよう
足場の安全性を維持するためには、適切な点検と管理が欠かせません。足場は日々の作業で劣化し、わずかな損傷や緩みが重大な事故につながる可能性があります。法律でも定期的な点検が義務付けられており、適切な管理を行うことで、安全な作業環境を確保できます。
足場点検のポイント
- 適切なタイミングでの点検:始業前・組立後・変更後・悪天候後など、リスクが高まる場面での点検を徹底
- 重点的に確認すべき項目:床材の損傷、支柱や緊結部のゆるみ、墜落防止設備の状態などを確実にチェック
- 点検結果の記録と管理:紙・Excel・管理システムなどを活用し、点検履歴を残すことで、安全性を向上
- 効率的な管理の導入:点検作業の負担を減らし、記録をスムーズに管理するためにデジタルツールの活用が有効
足場点検を徹底することで、安全性を確保し、労働災害のリスクを最小限に抑えられます。本記事で紹介したExcel点検表や設備保全システムを活用し、より効率的で確実な点検体制を整えましょう。
足場の点検にはMONiPLATがおすすめ
足場の点検を、より簡単かつ確実に行いたいならMONiPLATが最適です。紙の点検表では手間がかかる管理業務も、MONiPLATならスマホで記録から共有、承認まで完結できます。
通知機能で点検漏れを防ぎ、リアルタイムで点検データを保存できるので安全管理がスムーズになります。なにより、MONiPLATは20設備まで無料で利用できます。同じ無料であれば、手間のかかるExcelよりも、スムーズに管理できるMONiPLATを導入してみませんか?