
フォークリフト点検表の作り方と管理方法を徹底解説【無料Excelテンプレート付き】
フォークリフトは物流・製造現場で欠かせない車両ですが、適切な点検を行わないと故障や事故のリスクが高まり、生産性の低下や労働災害につながる可能性があります。法定点検を確実に実施し、記録を適切に管理することで安全かつ効率的に運用することが重要です。
本記事では、フォークリフトの法定点検の種類と適切な点検手順、点検表の作成方法や管理のポイントを詳しく解説します。無料でダウンロードできるExcelテンプレートも提供しているので、ぜひご活用ください。

フォークリフトの点検とは?安全管理の重要性

フォークリフト点検不足が原因で故障や事故が発生すると、生産ラインの停止や人的被害につながるリスクがあります。 そのため、フォークリフトの点検は作業現場の安全確保に欠かせません。
この章では、フォークリフト点検の法的義務や点検頻度、点検担当者について解説します。
フォークリフトの点検は義務?目的と法的な義務を解説
フォークリフトには一般自動車のような車検制度が存在しません。そのため、点検を怠ると異常や故障が見逃されやすくなり事故の発生リスクが高まります。
このような背景から、労働安全衛生規則ではフォークリフトの定期点検を事業者に義務付けています。
フォークリフトの使用者は、定期的に点検を行うことで安全を確保する義務があり、特定自主検査と定期自主検査における点検記録は3年間保管することが求められています。違反すると50万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、企業として確実に実施する必要があります。
出典:[ e-Gov法令検索 / 労働安全衛生規則第151条の16~第151条の26 ]
フォークリフトの点検頻度と適切なタイミング
フォークリフトの点検は法令により点検頻度ごとに3種類に分類されます。これらの点検を怠ると事故のリスクが高まるだけでなく、法的な罰則が適用される可能性があります。
点検種別 | 実施頻度 | 主な点検項目 | 記録の保管義務 |
---|---|---|---|
作業開始前点検 (日常点検) |
毎日(使用前) |
|
なし(記録推奨) |
定期自主検査 (月次点検) |
1ヶ月に1回 |
|
3年間保管義務 |
特定自主検査 (年次点検) |
1年に1回 |
|
3年間保管義務 |
後述する次の章では、それぞれの点検方法や具体的なチェック項目について詳しく解説します。
フォークリフト点検の実施担当者は誰?役割と責任について
フォークリフトの点検は点検種別ごとに担当者が異なります。作業開始前点検と定期自主検査は誰でも実施可能ですが、特定自主検査に関しては有資格者のみが実施できます。
点検種別 | 実施可能な担当者 |
---|---|
作業開始前点検 (日常点検) |
フォークリフト運転者または現場作業者(特別な資格不要) |
定期自主検査 (月次点検) |
フォークリフト運転者または現場作業者(特別な資格不要) |
特定自主検査 (年次点検) |
フォークリフト検査者(有資格者)または有資格事業者へ依頼 |
フォークリフトの年次点検は専門的な知識が必要なため、フォークリフト検査者の資格を持つ者のみが実施できます。この資格は厚生労働省の「フォークリフト事業内検査者研修コース」を受講し、検査実習の修了試験に合格することで取得できます。
フォークリフト検査者の資格取得条件は以下の通りです。
- フォークリフト業務に最低2年以上従事していること
- 厚生労働省が定める研修コースを受講して試験に合格すること
社内に有資格者がいない場合は有資格事業者に依頼することが一般的です。有資格事業者に依頼する場合、費用の目安は1台当たり約15,000円〜30,000円(※追加整備が必要な場合は別途費用発生)です。
重量 | 費用 |
---|---|
~1.0トン未満 | \28,000 |
1.0~2.0トン未満 | \36,000 |
2.0~2.5トン未満 | \40,000 |
2.5~3.5トン未満 | \45,000 |
3.5~5.0トン未満 | \53,000 |
まとめ
フォークリフトの点検は安全管理の基本であり、法令で定められた義務でもあります。特に、日常点検・月次点検・年次点検の適切な実施は、事故防止と法的リスクの回避に不可欠です。点検の実施者や記録の保管義務を理解し、適切な管理体制を整えましょう。
フォークリフトの点検種別と点検項目
フォークリフトの点検を怠ると、ブレーキの効きが悪くなったり、荷役装置が故障することで重大な事故につながる可能性があります。
この章では、作業開始前点検・定期自主検査・特定自主検査の点検方法と、それぞれの具体的な点検項目について詳しく解説します。
作業開始前点検(日常点検)のチェック項目
フォークリフトの作業開始前点検は、フォークリフトを使用する前に安全に操作できる状態かを確認するための点検です。主にフォークリフトの運転者が担当し、記録の保管義務はありませんが記録を残すことが推奨されます。
作業開始前点検で確認すべきフォークリフトの主な点検項目は以下の通りです。
点検項目 | チェック内容 |
---|---|
制動装置及び操縦装置の機能 | ハンドルやブレーキが正常に作動するか |
荷役装置及び油圧装置の機能 | フォークの上下動や油圧の異常がないか |
車輪の異常の有無 | すり減り、空気圧の不足がないか |
前照灯、後照灯、方向指示器及び警報装置の機能 | ライトや警報装置が正常に動作するか |
また、フォークリフトはさまざまな種類があります。共通点検項目は上記に従い点検し、点検項目の追記が必要な場合は適宜項目を追加しましょう。
- エンジン式ディーゼルフォークリフト
- エンジン式ガソリンフォークリフト
- バッテリー式フォークリフト
- LPG仕様フォークリフト
- ナンバー付きフォークリフトなど
出典:[ e-Gov法令検索 / 労働安全衛生規則第151条の25 ]
定期自主検査(月次点検)のチェック項目
定期自主検査はフォークリフトの異常や損傷を定期的点検として、1ヶ月に1回の頻度で実施する法定点検です。主に、部品の摩耗やオイル漏れ、ホイールの緩みなど、機械的な異常をチェックします。
定期自主検査で確認すべきフォークリフトの主な点検項目は以下の通りです。
点検項目 | チェック内容 |
---|---|
制動装置、クラツチ及び操縦装置の異常の有無 | クラッチの摩耗やゆるみがないか |
荷役装置及び油圧装置の異常の有無 | シリンダーのオイル漏れがないか |
ヘッドガード及びバックレストの異常の有無 | 破損やゆるみがないか |
定期自主検査を怠るとエンジンオイル不足で故障したり、フォークのゆるみが発生して荷崩れ事故が発生するリスクが高まります。
また、法定点検なので点検記録は3年間保管する必要があり、点検を怠ると50万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、確実に実施する必要があります。
出典:[ e-Gov法令検索 / 労働安全衛生規則第151条の22 ]
特定自主検査(年次点検)のチェック項目
特定自主検査は1年に1回、資格を持った専門家や有資格事業者が実施する法定点検です。この点検では、フォークリフトの安全性を総合的に評価して検査を行います。
特定自主検査で確認すべきフォークリフトの主な点検項目は以下の通りです。
点検項目 | チェック内容 |
---|---|
エンジン圧縮圧力、弁すき間その他原動機の異常の有無 | エンジンの異音、燃費の悪化、オイル漏れ |
デファレンシャル、プロペラシャフトその他動力伝達装置の異常の有無 | クラッチやトランスミッションの動作異常 |
タイヤ、ホイールベアリングその他走行装置の異常の有無 | すり減り、空気圧不足、ホイールのゆるみ |
かじ取り車輪の左右の回転角度、ナックル、ロッド、アームその他操縦装置の異常の有無 | ハンドルの操作性、部品の摩耗やゆるみ |
制動能力、ブレーキドラム、ブレーキシューその他制動装置の異常の有無 | ブレーキの効き具合、異音や損傷の有無 |
フォーク、マスト、チェーン、チェーンホイールその他荷役装置の異常の有無 | フォークの変形、マストのガタつき、チェーンの摩耗 |
油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、安全弁その他油圧装置の異常の有無 | 油圧の低下、オイル漏れ、安全弁の動作確認 |
電圧、電流その他電気系統の異常の有無 | バッテリーの充電状況、電気系統の異常 |
車体、ヘッドガード、バックレスト、警報装置、方向指示器、燈火装置及び計器の異常の有無 | 損傷の有無、計器類の動作確認、警報装置の機能 |
特定自主検査は作業開始前点検・定期自主検査で発見しにくい内部の異常や、長期的な摩耗を発見するために行われます。
たとえば、エンジンの圧縮圧力が低下すると燃費が悪化してエンストの危険が高まるため、定期的な点検を心がけましょう。
出典:[ e-Gov法令検索 / 労働安全衛生規則第151条の21 ]
まとめ
フォークリフトの点検は日常点検・月次点検・年次点検の3種類に分類され、それぞれ異なる頻度とチェック項目が定められています。特に、月次点検・年次点検は3年間の点検記録保管義務があるため確実な実施が求められます。
フォークリフト点検表の活用
フォークリフトを安全に運用するためには、法定点検を確実に実施して適切に記録・保管することが重要です。
しかし、点検を実施しても記録が曖昧であったり、管理が不十分な場合は、事故のリスクや罰則を受ける可能性があります。この章では、フォークリフトの点検表を活用して効率的に管理する方法について解説します。
点検表を活用するメリット・活用しないデメリット
フォークリフトの点検表を適切に活用することで、車両のコンディションを良好に保ち、事故やトラブルを未然に防ぐことができます。
一方で、点検表を適切に運用・管理しなければ、安全性の低下や罰則のリスクが高まるため注意が必要です。
フォークリフト点検表を活用するメリットは以下の通りです。
メリット | 具体的な効果 |
---|---|
フォークリフトのコンディションを良好に保てる | 異常や故障を早期発見できる |
車両の耐用年数が伸びる | 故障の発生を防ぎ、メンテナンス費用を削減 |
事故リスクを低減できる | 安全確認が徹底され、人身事故や荷崩れ事故を防げる |
ランニングコストを軽減 | 突発的な修理費を削減し、コスト管理がしやすくなる |
法的リスクを回避できる | 点検記録の適正な保管により、法令違反を防ぐ |
フォークリフト点検表を活用しないデメリットは以下の通りです。
デメリット | 具体的なリスク |
---|---|
フォークリフトの故障リスクが高まる | 整備不良が原因で稼働停止や事故発生の可能性がある |
事故による損害が発生する | 作業員の安全が脅かされ、製品や設備の破損リスクが増加 |
法的罰則を受ける可能性がある | 点検義務違反により50万円以下の罰金が科されることがある |
点検表の適切な管理は単なる書類管理ではなく、フォークリフトの稼働率向上やコスト削減につながる重要な業務です。
フォークリフト点検表に記録すべき項目
フォークリフトの点検表には、法定点検で必要な情報を確実に記録することが求められます。
特に、定期自主検査・特定自主検査は3年間の保管義務があるため、適切なフォーマットで管理しましょう。
点検表に記録する基本項目は以下の通りです。
項目 | 記入内容 |
---|---|
点検実施日 | 点検を行った日付 |
点検方法 | 実施した点検の種類(作業開始前点検・定期自主検査・特定自主検査) |
点検箇所 | 各部位のチェック項目(適正な順番で記載) |
点検結果 | 正常 / 異常の判定、具体的な異常内容の記載 |
点検担当者の氏名 | 点検を行った作業員の氏名 |
承認者(上長)の氏名 | 上長が確認し、承認した場合の氏名 |
修理・整備履歴 | 整備が必要な場合、その内容と修理日を記録 |
点検表を適切に管理することで設備の異常を早期発見し、適切な整備を行うことが可能になります。また、万が一の事故発生時に「適切な点検を行っていた証拠」として提出できるため、法的リスクを回避できます。
フォークリフト点検表の作成・運用方法

フォークリフトの点検表を作成・運用する方法には、大きく分けて3つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に合った方法を選択しましょう。
紙の点検表は手軽に始められる一方で管理が大変
紙の点検表は、点検業務に慣れていない作業員でも簡単に運用できる反面、記録の管理や検索に手間がかかるため、長期的な運用には向いていません。
メリット | デメリット |
---|---|
手軽に始められ、誰でも記入可能 | 紛失のリスクが高い |
特別なツールが不要 | 過去の記録を検索しにくい |
印刷してすぐに使用できる | 記入漏れや誤字脱字が発生しやすい |
Excelやスプレッドシートの活用はカスタマイズしやすいが手間がかかる
表計算ソフトの活用はカスタマイズ性が高く、一定の規模の企業にとっては有効です。
一方で、大量のフォークリフトを管理する場合、手間が増えやすい点に注意が必要です。また、紙と併用する場合はデータの二重管理が発生する可能性があるため、効率的な管理方法を検討しましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
各現場やフォークリフトの種類に応じて自由にカスタマイズ可能 | 作成・管理にスキルが必要 |
データの整理・集計がしやすい | 承認フローが煩雑になりやすい |
クラウドストレージで共有可能 | 入力ミスや手動管理の負担が増える |
本記事では、作業開始前点検表と定期自主検査記録表のExcelテンプレートを提供していますので、ぜひご利用ください。

設備保全管理システム・アプリなら効率的な点検を実現
スマホやタブレットを活用した設備保全管理システムは、効率的に点検記録を管理することができるため、大規模な事業所や複数のフォークリフトを管理する現場におすすめです。
メリット | デメリット |
---|---|
入力が簡単で、タップだけで記録可能 | 初期導入コストがかかる |
データをクラウドに自動保存できる | 操作に慣れるまで時間が必要 |
点検のリマインド通知機能で点検漏れを防げる | インターネット環境が必要 |
当社の設備保全管理システム「MONiPLAT」は、フォークリフトを含むさまざまな設備点検を一元管理できるクラウドシステムです。今なら20設備まで無料でご利用いただけますので、まずはお試しください。
まとめ
フォークリフトの点検を適切に記録・管理することで、安全性の向上や法令遵守だけでなく、車両の寿命延長やコスト削減にもつながります。点検表は紙や表計算ソフト・設備保全システムのいずれかで管理できますが、自社の運用環境に適した方法を選択し、確実に運用することが重要です。
フォークリフト点検で安全性を確保し、業務効率を向上させよう
フォークリフトは物流や製造現場で欠かせない車両ですが、安全管理が不十分だと故障や事故のリスクが高まり、生産性の低下を招く可能性があります。法定点検を適切に実施し、正しい管理方法で点検記録を保管することが、安全な作業環境の維持につながります。
フォークリフト点検のポイント
- 法定点検を確実に実施する:日常点検・月次点検・年次点検の違いを理解し、適切に実施
- 点検記録を適切に管理:法定点検の記録は3年間の保管義務があり、適正な管理が求められる
- 点検表による管理の負担を軽減:紙・表計算ソフト・設備保全システムなど、自社に合った方法を選択
フォークリフトの点検を適切に行うことで、車両の耐用年数を延ばし、事故リスクを低減できます。また、点検記録の管理を徹底することで、法的リスクを回避し、業務の効率化にもつながります。自社の運用環境に合った点検・管理方法を取り入れ、安全で快適な職場環境を維持しましょう。
フォークリフトの点検にはMONiPLATがおすすめ
フォークリフトの安全管理を徹底するなら、当社の設備保全管理システム「MONiPLAT」の活用がおすすめです。PCだけでなく、タブレット・スマホから簡単に日常点検を記録・管理できます。
MONiPLATは複数のフォークリフトを所持、またそれぞれに検査者がいる現場環境でも、リアルタイムで承認者に情報共有が可能。点検項目の追加・削除や記録データの分析機能も備えており、異常や故障の予兆を可視化することができます。
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